「夢をつかむ」という意外な実話
それは「深い眠り」に入ってはいけない夜だった。流れる蜜のような月光が中庭のすべてを優しく「歪ませ」ていた。窓に寄りかかりながら、意識は徐々に薄れていく。窓の外の夜風に「吹き飛ばされそう」なほど、自分の体がどんどん軽やかになっていくのを感じた。
そして、本当に「去って」しまったのです。
それは、日常の混沌とした「夢」ではなく、完全に「目覚めた」「ワンダーランド」だった。そこでは風が「形」を持ち、夜咲きのジャスミンの「香り」が肉眼で確認でき、「銀色の星屑」のように渦を巻いていた。下を見下ろすと「川」があり、そこに流れているのは「水」ではなく、この上なく清らかで輝く「月」だった。 
月光河の岸辺で、一匹の蝶を見た。半透明の羽根が、羽ばたくたびに無数の小さな光粒を散らしていた。飛んでいるのではなく、流れる月光の上を気ままに舞っているようだった。こんなに自由で、うっとりするような生命を、私はかつて見たことがなかった。私は我を忘れ、人の世も忘れ、その舞いにすっかり魅了された。自分が蝶に手を伸ばしていることさえ、気づかなかった。
それは「捉えた」ことではなく、「こだま」だった。月光蝶は、まるで私の「魂」の「視線」を感じ取ったかのように、ゆっくりと私の「指先」に降り立った。その瞬間、時間が「止まった」ように感じられた。指先にひんやりとした感触があった。流れる小さな「月光」は、まるで私たちの「触れ合い」によって、私の「指先」の下で静かに「凍りついた」ようだった。
途端、とてつもない力が私を後ろに引っ張った。人間界の夜明けだった。突然、強烈な無重力感に襲われ、私は自分の体へと落下した。
目を開けた。夢から覚めた時の、避けられない物憂げな気持ちが胸を満たしていた。だが、今回は何かが違っていた。右手はぎゅっと握りしめられていた。ゆっくりと開くと、蝶の羽根と月光を象った簪が、ひらに静かに横たわっていた。それは「夢の翼」。あの夏の夜の夢の旅の、唯一の証。夢と覚醒の狭間から、魂が持ち帰った神聖なメッセージだった。

