《かの者、傷跡を、軸心として舞う、無名の、舞手》

発信時地： 秋日、北境の城

受信者： 《光域回響》編集部 同仁諸氏： 此の信、は、我々、が、研究している、かの、「“‘焚心箋’”」（Fén Xīn Jiān）と、名付けられた、法器、の、ために、一つの、「“‘凡間’”」（bonkan）、からの、「“‘印証’”」（inshō）、を、提供する、ものである。

私、は、ある、ほとんど、世に、忘れられた、舞室、にて、一人の、無名の、舞手、を、目撃した。 彼女、は、私、に、信じさせた、我々、が、探求する、かの、「“‘創傷神化’”」（Sōshō-Shinka）、に関する、「“‘原型’”」（Genkei）、が、確かに、今、比類なく、心を、動かす、姿、をもって、真に、この、世界に、存在、している、と。

彼女、は、私、と、正式な、「“‘会見’”」（Kaiken）、を、行った、わけでは、ない。 我々、は、ただ、金色の、陽光、が満ちる、午後、に、静かに、対坐、し、言語、も、また、途切れ途切れ、であった。 私、は、むしろ、彼女の、「“‘神殿’”」（Shinden）、へ、入ることを、許された、「“‘観礼者’”」（Kanreisha）、に、近かった。

彼女、は、私、に、彼女の、脚、にある、かの、「“‘印’”」（Shirushi）、を、見せた。 膝、から、足首、まで、伸びる、一本の、長く、浅い、色、の、「“‘線’”」。 彼女、は、言った、最初、は、それ、を、「“‘休止符’”」（Kyūshifu）、と、みなしていた、と。それ、は、彼女、が、舞手、として、「“‘宣告’”」された、「“‘終結’”」、であった、と。 それ、は、長く、続く、「“‘寂静’”」（Jakujō）、に、「“‘淹没’”」（Enbotsu）、させられた、時、であった。

転折、は、彼女、が、完全、に、「“‘対抗’”」、を、放棄した、後、に、発生した。 彼女、は、「“‘考古’”」（Kōko）、に、近い、「“‘姿勢’”」、で、自ら、の、身体、を、改めて、「“‘認識’”」、し、始めた。 彼女、は、指先、で、その、傷跡、の、「“‘肌理’”」（Kime）、に、触れ、それ、の、周り、の、無傷な、皮膚、と、は、全く、異なる、「“‘質感’”」、と、「“‘記憶’”」、を、感じ取った。

彼女、は、私、に、言った：「“‘ここ、は、‘終点’、では、ない。’”“‘もう、一つの、‘原点’、だ。’”」

その、後、彼女、は、再び、舞い、始めた。 だが、それ、は、既に、全く、新しい、「“‘舞踊’”」、であった。 彼女、は、もはや、空、へと、「“‘逃逸’”」、する、ような、高難度、の、「“‘飛躍’”」、を、追求、しない。 そうではなく、その、かつて、傷を、負った、脚、を、舞、全体の、絶対的な、「“‘軸心’”」（Jikushin）、と、「“‘根基’”」（Konki）、と、した。

私、は、幸運、にも、その、目、で、かの、《軸心》、と、名付けられた、独舞、を、目撃した。 私、は、見た、彼女、の、全ての、動き、が、みな、あたかも、その、「“‘静止した傷跡’”」、から、「“‘生長’”」（Seichō）、してくる、かのよう、であった。 回転、は、より、良く、その、「“‘静謐’”」（Seihitsu）、へと、回帰、するため。 伸展、は、より、深く、その、「“‘力’”」（Chikara）、を、感受、するため。

その、傷跡、が、彼女、の、「“‘舞踊神殿’”」（Buyō-Shinden）、全体の、「“‘地基’”」（Jiki）、と、なった。 彼女、は、息を、のむ、美しさ、をもって、その、「“‘かつての廃墟’”」、の、上、に、一座、の、より、堅固、で、より、慈悲深い、「“‘聖堂’”」（Seidō）、を、建立した。

その、瞬間、私、は、「“‘焚心箋’”」（Funshin-sen）、の、全て、の、「“‘神髄’”」（Shinsui）、を、見た： その、「“‘氷晶の花’”」（Hyōshō-no-Hana）の、ような、「“‘完美’”」（Kanbi）、への、早期の、追求。 その、**「“‘聖火’”」（Seika）の、ような、「“‘焚心’”」（Funshin）、に、足る、「“‘淬錬’”」（Suiren）。 そして、最終、に、その、「“‘傷痕’”」（Shōkon）、の、上、に、沈殿した、その、一抹、の、「“‘薔薇燼’”」（Shōbi-jin）、と、名付けられた、深刻な、「“‘智慧’”」（Chie）、と、「“‘安寧’”」（Annei）。

この、無名の、舞手、彼女、は、「“‘焚心箋’”」（Funshin-sen）、を、知らない。 だが、彼女、は、疑いなく、それ、の、人間（にんげん）、の、世、における、最も、深遠な、「“‘知音’”」（Chiin）、である。

此の信、ただ、記録、の、ため。

記録者、 《光域回響》